浦ノ崎変電所跡
僕らがこの廃墟の存在を知ったのは、川南造船所という廃墟について調べていた時だった。
川南造船所は、佐賀県伊万里市に存在した、回天などの人間魚雷を製造していた非常に大きな軍需工場である。
戦後しばらくして廃墟となり多くのマニアを魅了したが、平成24年に惜しくも解体され今は何も残っていない。
その事実に僕らは落胆したが、造船所跡の近くに”浦ノ崎変電所”という小さな廃墟が、今もポツンと存在しているという情報を手にし、「もしかしたら造船所跡が少しでも残っている...かも」という淡い期待も持ちながら、今回の目的地をここに決定したのだった。
変電所のそばにかかる松浦鉄道
線路にまたがる小さな踏切を越え、鬱蒼とした藪に身をう埋めながら進んでいくと、灰色の壁と木製の扉が目に入った。
着いた...。ここが、浦ノ崎変電所跡だ。
苔蒸したコンクリートと新緑
内部に潜入。
建物は思っていたよりも広く、家庭ゴミや昔の家電が無造作に転がっていた。
誰かの洗濯機
残留物のせいか、変電所だというのに異様なほど人の気配を感じた。
結局この建物はいつ建てられ、いつその役割を終えたのだろうか。
そして、あの造船所にも電力を送電していたのだろうか。
横たわるブラウン管
僕らの期待以上に、ここは神秘的な空間であった。
しかし、この日はあと二つ物件をめぐる予定だったため、名残惜しみつつ、この場をあとにしたのだった。
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